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「“のれん”の上にあぐらをかいていたんだと思う…」、
本日廃業の決定を発表した老舗料亭経営者の発言である。

報道画面を見る限り、経営者は終始資料を見ながらの会見だったので、
事前に用意されていた発言なのかもしれないが、企業という組織が
終焉を迎える一つの形態を表す言葉として正鵠を得たものであろう。

大きな成功体験をした企業には、慢心や驕りが蔓延りやすいと言われる。
事実くだんの料亭と同じような終焉を迎えた企業は枚挙にいとまがない。

世の心ある企業経営者が、
「過去の成功体験にしがみつくな!」などと従業員たちに発破をかけたり、
ドラスティックな組織の機構改革に取り組んだりするのは、
常にイノベーション(革新)を意識していなければ、企業という生き物は
いともたやすく死に行くことを知っているからであろう。

しかし、いくら有能な経営者がイノベーションを叫んでみても、簡単には
組織は変化を受け入れようとはしない。なぜならば組織を構成する私たち
一人ひとりの多くは、本質的に変化を好まないからである。今までと同じ
価値観で働き続けることができれば、退屈ではあるかもしれないものの、
精神的に安定した状況で仕事を続けることができる。そして、その状況が
定常化してしまえば、それが“当たり前”という感覚すら持つに至る。

私たちのような外部の研修会社が事業を続けていられる理由の一つは、
その組織の“当たり前”が社会通念上も“当たり前”であるかどうかを
客観的に判断して、組織を構成している受講者の一人ひとりに対して
意見することができるから、と捉えることもできる。

自分が慣れ親しんでいる価値観を、客観的に見つめ直すことができる人が
どれだけその組織にいるか?が、その企業の命運を握っていると言っても
過言ではない、と私たちは感じている。

企業はまさに『築城10年、落城3日』である。
その存亡を握っている組織の一人ひとりが、この意識を持っていなければ、
くだんの経営者が語っていた「山から転げ落ちるように…」という危機が
ウチの会社にもやってくる、と肝に銘じておくべきかもしれない。