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研修講師の仕事と聞くと、
人に何かを教える仕事だと思われる方が多いのかもしれない。

もちろん、それは間違いではない。
知識やハウツーをお伝えするのも研修講師の仕事であるからだ。
けれども、人に何かを教えることがこの仕事の本質か?
と問われたなら、私は首を縦に振ることができない。

誤解を恐れずに申し上げるならば、
私たちを含め多くの研修業者が、実際に研修の場で扱っている
知識やハウツーの大半は、決して革新的なものではない。

多くは過去の先達が獲得した英知であり、またその延長線上にある。
それに今の時代、それらの知識やハウツーのほとんどは、
さしたる苦労もなく手にすることができる。

極論すれば、何らかの知識やハウツーを獲得するために、
わざわざ研修などを受講する必要などないということになる。

では、なにゆえ未だに私たちのような仕事が存在しているのか。
私たちも、私たちなりに自分たちの存在理由を考えている。
そして現段階では、次のような理由が推論として挙げられるのでは
ないかと思っている。

それは、多くの人たちにとって、
『知らないことと、知っていることとのギャップ』よりも、
『知っていることと、できることとのギャップ』の方が大きい、
ということに起因しているのではないか、という推論である。

人間という生き物は、頭では理解していてもできないことの方が多い。
その原因は多くの場合、自らの内部にあるはずなのだが、
それを認めたがらないのも我々人間の特性である。

とりわけ組織の中で仕事をしていれば、その傾きは大きくなる。
理屈通りに物事が運ばないことを、否が応でも学んでしまうのだ。

その環境に慣れてしまうと、我々は、
“本来はこうあるべきなのに、○○のせいでそれができない…”
というような他律的な思考回路を持つに至るのである。

その状態を何とかすべく期待されているのが、
研修の場であり、研修講師の仕事の本質であると思うのだ。
そのための武器は、知識やハウツーではない。
受講者の感情や意識を刺激して彼らを“その気にさせる力”である。

そんな考えは、私たちの単なる思い上がりなのかもしれない。
それでも私たちは、“人を動かすのは人である”ということを信じて、
この仕事を続けていきたいと思っている。