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ユニゾンで1番の読書家は、おそらくシノちゃんだ。

彼女のすごいところは読書量だけではない。
話題の小説からレアな教養書まで、幅広い分野の本を読む。
読書傾向の偏りが、とても小さいのだ。

読まず嫌いで手に取らない本が多い性質の私は、
自らの読書の幅を広げるために、時々彼女にお薦めの本を問う。

凍
連休前に彼女が薦めてくれたのがこの本。
“凍える”と書いて“とう”と読ませる、
『凍:沢木耕太郎(著)』。

私が滅多に読まないノンフィクションものだ。
彼女がこの本を薦めてくれた際のコメントは…
「夫婦で絶望的なビバークするところなどは、
 本当にハラハラした。単純に面白いと思う」
だった。

ビバークと言えば冬山の登山である。
いくら私の読書先生であるシノちゃんが薦める本でも、
私はこの本にあまり期待を持てなかった。

私の身の回りにも、登山を愛する友人知人たちがいるのだけれども、
彼らにいくら登山の素晴らしさを宣伝してもらっても、私の気持は
ついぞ動いたことがない。どうしても気乗りできない分野なのだ。

そう言った訳で、この本は“前のめり”で読み始めたのではない。
最初は使命感?からページをめくっていた。
しかし、かえってそれが良かったのかもしれない。

この本は、世界的なクライマーである山野井泰史・妙子夫妻が、
ヒマラヤの“ギャチュンカン”という山の難壁に挑んだルポルタージュである。
その過酷な道程は、凄絶という形容以外の言葉が見つからない。
シノちゃんが話していた“絶望的なビバーク”は、確かに絶望的だった。
ハラハラしながら、私も一気に読み終えてしまった。

世に山に惹きつけられる人のいる理由が、私にもほんの少しわかった気がした。