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あの人には営業力があるとか、ないとか言われることがある。
果たして、この“営業力”とは一体何なのであろうか?

仮に“営業力”と一般に呼ばれている力が定義できるとするならば、
私自身は“業績を上げ続けていく力”がそれであると考えている。
身勝手をお許しいただき、その前提で考えてみると、
“営業力”は大きく2つの要素から成り立っていると思われる。

1つの要素は、商談力である。
これは例えば、雑談力、傾聴力、提案力、プレゼン力、課題解決力…
といった主に「クライアントを口説き落とすための力」である。

もう1つの要素は、一言で表現するのが難しい。
敢えて表現するなら「将来の業績を育てる力」、
また別の表現をするなら「営業のPDCAサイクルを回す力」とでも言えようか。
いずれにしても、この要素は前記の商談力とは異なる力を指す。

また、これら2つの要素に時間軸を与えてやれば、
前者は“瞬発力”、後者は“持久力”とそれぞれ表現できるかもしれない。
営業力とは両者の複合体として形作られている力である、
というのが、現在の私の考えである。

ところで、一般的に営業力と言えば、
主に商談力に類する力を指すことが多いようだ。
例えば、営業にまつわるビジネス書籍のタイトルをざっと眺めてみても、
その大半は“商談力(瞬発力)”の強化を謳っている。
私は、このように「営業力=商談力(瞬発力)」と解する
一般的な傾向があることに違和感を感じ続けている。

この違和感は、私自身の経験から発している。
私が営業という仕事に20年近く携わってきて実感しているのは、
私を含めた営業パーソンが“業績を上げ続けていく”ためには、
瞬発力よりむしろ持久力の方がより重要であるということなのだ。

無論、営業パーソンに商談力が無用であるなどと言うつもりは毛頭ない。
商談力だけでは営業力の十分条件を満たさない、と申し上げたいだけだ。
その1つの証左として、自分の身近で優秀な(優秀だと言われている)
営業パーソンの顔を思い浮かべてみるといいと思う。

中には抜群の商談力を誇る営業パーソンもいるかもしれないが、
全員が全員、そのようなタイプばかりではないはず。
「何でアイツが?」などいうタイプも少なからずいるはずだ。
そんなちょっと冴えない?タイプの彼らが、
どうして業績を上げ続けることができるのか?

多くの場合、その源泉となっているのが彼らの“持久力”である。
彼らの多くは、今、眼前にある商談にのみ注力するのではない。
明日明後日、来月再来月、来年再来年…と、今日より未来の業績に
繋がる案件を、どのように創り・育てるかを常に考えて行動している。

そんな彼らが有する営業力は、例えば、計画を立てる力、先を読む力、
活動や案件に優先順位を付けて実行する力、マメな活動を支える力…など、
ここで言うところの“持久力”に類される力である。

これらの持久力を持つ営業パーソンは一見地味ではあるものの、
抜群の瞬発力しか持たない営業パーソンを遙かに凌駕する営業力を
持っていると言ってしまって良いと思う。

従って、私は「営業力=商談力」と捉えることには反対なのである。
けれども一方で、私は「営業力=商談力」と解する一般的な社会合意が
存在していることも無理からぬことであると感じている。

それは、商談力(瞬発力)を高めるためのノウハウやハウツーが、
商談力以外の営業力(持久力)を高めるためのノウハウやハウツーに比べて、
言葉を通じて説明することが比較的容易であると考えているからだ。
逆に言えば、商談力以外の営業力(持久力)を高めるためのノウハウや
ハウツーは言葉で伝承するのは難しいと言える。

それゆえ、このこと(営業力の極めて重要な要素である持久力)に関して、
過去から現在に至るまで、営業パーソン個人のセンスの問題や精神論で
片付けられてきてしまった嫌いが多くあったのかもしれない。

世の営業マネージャー方には、部下の“営業力の強化”を、
この“持久力の強化”の観点からも見直してもらいたいものである。
(久々のエントリーで筆?が滑り気味なのはご容赦下さい)