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日経ビジネスの最新号(3月2日号)に、
『デザインで不況に克つ』という特集記事が掲載されいた。

ユニクロ、無印良品、Appleなどのデザイン戦略を取り上げて、
この不況下を生き抜くためにデザインがいかに重要な要因であるか、
を論じている記事で、とても興味深い内容だった。

私には、“デザインとは何なのか”を説明することはできない。

けれども、自分の価値観にフィットするような姿形をしたモノや、
機能美を追究したようなモノには、人並みに惹かれる。
だから、デザインが消費者の重要な購買動機になるという話も、
すんなりと受け入れることができる。

しかし、そのような感覚を持っている
(と言っても、ごく普通の感覚だと思うのが)私の印象では、
日本企業(特に大手企業)が作り出す工業製品の多くは、
残念ながらデザインを重視しているとは思えないのだ。

それはこの記事にも書かれている通り、
日本企業におけるデザインという概念や、それに携わるデザイナーの
社内的な地位が決して高くない、ということにも起因するのだろう。

また(これはまったくの私見ながら)、未だにこの国の“ものづくり”の
価値観が、同一アイテムの“大量生産・大量消費”を前提としている、
ということが、その要因の一つに挙げられるのではないだろうか。
これは日本のものづくりの現場において、“コスト削減”という
“伝家の宝刀”が振りかざし続けられていることとも無縁ではないと思う。

ところで、私は自動車という工業製品が大好きで、
昨今乗る機会は随分と減ってしまったものの、色々な自動車を眺めたり、
空想の中で購入計画を立てたりする時間を楽しんできている。

そんな中で私は、日本車のデザインに対して大いに不満を抱いてきた。
その姿形もさることながら、例えば内外装のカラーやシートの材質など、
消費者が選べる選択肢の幅が、外国車に比べて驚くほど狭いからだ。

今でこそ日本車も随分と頑張ってきてはいるが、それでも、
ドイツ・フランス・イタリアなどの車に比べれば見劣りする。
得心がいかないのは、同じ車種でもヨーロッパに輸出される日本車の方が、
国内仕様より外装色が豊富、内装の種類も多い、などいうことが、
未だにあるということだ。これはひとえに“コスト削減”が理由であるらしい。

されど穿った見方をすれば、ひょっとするとメーカーは、
日本人はデザインにお金を払わないだとか、
愛着を持たれたら買い換えが進まないから困るだとか、
そんな一世代も二世代も前の価値観を引きずっているのではなかろうか?
などと疑いたくもなる。

この国でも、これからますます“個人の感性”が重要視されるようになると思う。
そんな時代に、同一アイテムの“大量生産・大量消費”を
前提とした工業製品が生き残れるとは到底思えない。

“個人の感性”を表現することに熱心な消費者は、
自分が選ぶ“モノ”にその感性を代弁させようとするはずだ。
そのための最大の武器が“デザイン”になるのだろうと思う。

世の社内デザイナー方の一層の奮起を期待したい。