ユニゾンのENSEMBlog

「人と組織のマネジメント」にユニークな価値を提供し続ける企業
「株式会社ユニゾン」
マネジメント研修を事業のドメインに据える
同社の社長とスタッフたち(ときどき)とで綴るブログです。
頻度はそこそこ、中身は真面目にがモットーです。

実践

言うは易く行うは難し

「言うは易く行うは難し」という言葉。
口で言うのは簡単だけれども、実践するのは難しいという意味の
言葉だと理解している。

しかし、この前段階に“思う”という段階が有る。
思ってもいないことは、言うことも、ましてや行うこともできない。

研修の中でお伝えすることに、周囲(上司や部下、同僚、関係区)に
宣言しましょうというものがある。
人は易きに流れやすい為、リーチをかけておきましょうということである。

リーチをかけることによって、自分に負荷をかけることになったり、
周囲に監視して貰ったりできる。

言うは易く行うは難し…言わずに“やり切る”ことはもっと難しい。
自分を律する為にも、周囲に開示することは重要である。
そうすれば、少なくとも自己の弱さの為に、志し半ばであきらめてしまう
ことは少なくなるだろう。

宣言する際には、「○○したい」よりも、「○○してみせます」と
言っていただきたい。
講師陣曰く、魚は「鱒」より「鯛」ですが、仕事は「○○したい(鯛)」
より「○○してみせます(鱒)」
ですから。

「報告」に見られるマネジメントの落し穴

次号ユニゾンTOPICS Vol.19 に掲載予定の
「温故知新:『報告』に見られるマネジメントの落とし穴」の全文をご紹介します。

-----------------------------------------------------------------------------
研修で学んだことが実践されない、という声をよく耳にする。

これは研修の専門企業にとっても由々しき問題である。
しかし、解決策とは言えなくとも、打開策ぐらいならある。
それは、研修後実践せざるをえないように仕掛けをすることである。

そのひとつがフォロー研修である。つまり、本研修の2〜3ヶ月後に、
実践してきたことの報告を中心に、再度研修を行なうことである。

当然、その時はきめ細かな実践内容を記述した報告書を持参して、
研修会に臨んでもらうことになる。場合によっては、
この種のフォロー研修を2回、3回と繰り返し行なう。
そうすると、いい加減な研修生の場合も大抵は取り組むようになる。

実践するようになれば、本人の改善点も次第に明確になってくる。
格別現場で観察するわけではないが、報告書を見れば大体のことはすぐわかる。
マネジメント力の弱いマネジャーの場合は、
次のような共通した傾向が報告書の中に見られるのである。

1.成功要因・失敗要因の分析が甘い

実践したことがなぜうまくいったのか、
あるいはいかなかったのかの分析ができない。
「こういう結果であった」という単なる結果報告の傾向が強い。
特に成功した場合の要因分析が苦手のようである。

自分自身のやってきたことを客観的に振り返ることができないということは、
明確な意図と強い意識のもとで日常の仕事をやっていないとも言える。
いずれにしても、成功や失敗から学び取ることができないのは致命的である。

2.事前に予測される問題に対して手が打たれていない(計画に入っていない)
ある事を集中してやろうとすれば、別なことがおろそかになる可能性は充分にある。
そういうことに気が付かない。例えば、新規開拓を重点的に推進すると、
既存客のフォローがおろそかになるのは充分考えておかなければならないことである。

ところが報告書の中で、既存客からの売上げが低下し、
競合相手に取られた所も発生した、などと平気で述べているのである。

3.途中で判明した問題が、その時点で修正されないまま納期まで放置されている

3ヵ月後の報告研修会で、
「部下任せにしてしまい、チェックをおろそかにしていた」というような報告も多い。
部下任せにしていたことが、3ヶ月間もわからなかったのだろうか。
少なくとも1ヶ月して振り返れば気が付くことであろう。

単純なことにさえ気が付かないのは罪である。
気が付いても改めないのは更なる罪である。

続きを読む

モラール・クリエイター

「モチベーター」なる言葉を耳にする機会が増えている。

大辞泉によれば、“心理学や精神分析学の手法を用い、
 人にやる気をおこさせる技術を習得した専門家”とあるが、
人材教育に携わる同業他社やお客様から、この言葉を耳にする限り、

会社組織において“メンバーのモチベーションを高めてくれる人”
を指して「モチベーター」と呼んでいるようである。
(ちなみに、犬をしつけるために使うご褒美もモチベーターと呼ぶらしい)

私たちユニゾンでは従前から、モチベーターと近しい意味で、
「モラール・クリエイター」という言葉を使っている。

モラール(集団の士気)をクリエイトする(創る)人、
つまり、組織のやる気を高める牽引者的存在のことである。
また逆に、集団の士気を削ぐ人を「モラール・ブレイカー」と呼ぶ。

どの組織にも、一握りのモラール・クリエイターと、
同じく一握りのモラール・ブレイカーが存在する。

そして、両者の間に大半のメンバーがいるのである。
その集団の性格は、両者の綱引きによって定まると言って良い。

モラール・クリエイターが綱引きに勝てば、活気溢れる集団となろう。
しかし力が強いのは、スターウォーズのダークサイドよろしく
モラール・ブレイカーなのである。

なぜ、モラール・ブレイカーの力が強いのか?
モラール・ブレイカーに共通するのは、
一見、論理的思考能力が高く、正論や“べき”論が得意な点である。
それらを振りかざして、自分では何もしない評論家タイプが多い。

彼らは他のメンバーに、自分たちが恵まれないのは、
「社長・会社・商品・上司・仲間が悪いせいで、我々は悪くない」
とささやいて仲間を増やす。残念ながら、集団は易きに流れるのである。

では、モラール・クリエイターはどうすれば良いのか?
モラール・クリエイターの武器に“ささやき”はない。
武器は、私心淡泊であることと、集団に貢献する実践(行動)である。

モラール・クリエイターに共鳴する心あるメンバーが一人、二人と増え、
やがて、利己主義的な行動や評論家的な言動が「恥」とされるようになる。
正直者が馬鹿を見ない「恥の文化」が醸成されることで、
初めて組織は活性化するのである。

統合の7つのプロセス

ユニゾンTOPICS Vol.16(6/30配信予定)に掲載の
「温故知新:統合による経営の奨め 〜「なんでオレだけ…」症候群の治療法〜 」、
メルマガに記載できなかった「統合の7つのプロセス」をご紹介いたします。

-----------------------------------------------------------------------------
 統合という言葉が、
たんに「約束し合う」といった程度の意味で使われているケースも多い。
ひどい場合は、上からイヤとはいえない状況を作って下に押しつけて
「じゃ、統合したよ」とすることさえある。これらは統合のはきちがえである。

安易なやり方をするから、安易な(不満足な)結果しか得られない。
統合を「便利なノウハウ・テクニック」と考えるのは大間違いである。
必ず失敗し、最後には「統合なんてあまっちょろいことはいっていられない」と
逆戻りすることになるだろう。
「統合とは、経営の根幹となる哲学である」との認識をべ一スにする必要がある。

以上の認識を前提として、以下に概説する7つの統合を社内に浸透させていただきたい。


1.自己統合
「人を説得するには、まず己自身が感動し、
己自身を説得することから始めなければならない」という金言がある。
説得と統合とは同義ではないが、この金言の重要性は不変である。

自立した人間と自立した人間との真撃なぶつかり合いを通じて、
新たな価値を創造するのが真の統合である。
とすれば、統合を図ろうとする側に「筋金入りの主張」がなければならない。
しかもそれは、
統合のための「タタキ台」に過ぎないのだという柔軟さを併せ持つべきものなのである。

2.想いの統合
「想い」とは、将来への希望であり見通しのことである。
これが意欲やガンバリの源泉となる。
「甲子園に出たい」という想いが監督と球児たちで統合されているから、
辛く厳しい練習にも耐えられる。

経営者も従業員も、自分の人生の主人公である。
両者の人生の主要な舞台である会社、職場をどうしたいのか。
その舞台で自分たちはどんなドラマを織り成したいのか。
これらをじっくり語り合い、共有化するのが「想いの統合」である。
統合による経営が成功するか否かの分岐点がここにあるといってもよいだろう。

3.課題の統合
想い実現のためには道標としての一里塚目標が必要である。
それが来期目標や来月目標などに当る。まず部下自身が現在、
どのような一里塚目標を描いているのか、それをどんな戦略(方法諭)で
成し遂げようとしているのかを共感的に聴き出すことである。

批評や指示ではなく、質問やアドバイスによって部下の視野を広げさせ、
質の高い新たな努力が引き出されるような課題設定を図るのである。
出てきた課題は羅列するだけで終らせず、
重要性、緊急性、因果関係などを両者で検討し、
優先度を明確にして統合することである。

4.実践シナリオの統合
部下の経験や能力、意欲、あるいは課題の難易度によって、
課題の統合だけで充分というケースもある。と思ってしまいがちだから、
そこに落とし穴がある。「開けてビックリ玉手箱」が続発する原因である。

どんなに優秀な部下であっても、せめてラフプランの統合は必須である。
重要な課題であれば、きめ細かい実践シナリオ化は是非やるべきだ。
プロセス目標、行動目標、スケジュール、資源動員計画など、
細部を詰めることによって、障害の予測と対応策や新たな知恵が生み出される。
また、成功期待感も高まるのである。

5.期待の統合
経営者は、良い意味で「欲張り」でなければならない。
「うちはこんなもの」「かれらはあんなもの」と達観したら、衰退の一途をたどる。
潜在力を引き出すのが使命でもある。

普段の仕事ぶり、他者への関わり方、自己啓発への取組みなど、
部下の変化(成長)を促し続けることだ。その期待を率直にぶつけ、
逆に自分への期待も遠慮なく言ってもらう。理想論や建前論の統合はいらない。
真の統合は泥臭いものだ。腹の内をさらけだして「期待の統合」を図る必要がある。
部下を業績マシンと見たら、人間的な期待は出てこない。

6.目標の統合
マズローは「安全欲求は常に成長欲求に優先する」と指摘している。
失敗の危険がないものはチャレンジとはいわない。とすれば、
困難な目標であればあるほど、不安の源も大きくなり、決意へと至りにくくなる。
揺れ動く心理なのである。

「丁か半か」と決断を迫るのではなく、
不安の解消と勇気づけのヘルプを行うことが重要となる。
そして「向こう傷は勲章だ」といった姿勢で臨み、最終的な目標統合を図るのである。
その際、結果目標だけでなく、
プロセス目標や鍵となる実行項目をきちんと約束事にすることが大切である。

7.測定の統合
統合における盲点になってしまうのが「測定の統合」であろう。
目標統合ができればオートマチックに成果に結びつくものではない。
いざ実践に移したら思惑が外れたり、トラブルが発生したり、自已規制がくずれたり、
といった様々な阻害要因が発生する。
それらの悪影響を最小限にするための仕組みを事前に作っておくことである。

達成のヘルプという意味での中間チェック(時期や方法など)を予め統合する。
経営の読みを確かにする意味でも重要であるし、
部下の「やらされ意識」を防ぐことにもつながる。


以上の『7つの統合』は、
現場での統合がうまくいかない理由の裏返しでもあることにお気づきだと思う。
すべてがまずいのではなく、どこかが欠落してしまっているのである。
弱点となっている要因を重点的に改善すれば、その効果は目に見えるものとなるだろう。

ユニゾンの書籍


『はじめての管理職100問100答』

(株)ユニゾン 堤幸政/河村亜紀 著

明日香出版社

QRコード
QRコード
最近のコメント
twitter