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NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀(3/10放映)』で、
北九州を中心にホームレスを支援する活動をしているNPOの代表、
奥田知志さんが「プロフェッショナルとは?」という問いに対して、
次のように答えていた。

「 使命という風が吹いたときに、
 それに身を委ねることができる人だと思います。
 そして、そのときに、自分の思いとか考えとか、都合とか、
 好き嫌いというものをやっぱり一部断念することができる人。
 それがプロだというふうに考えてます。」


「今の仕事が自分の使命だ!」
と言い切れる人はどれ程いるのだろう。

「今の仕事は私のやりたい仕事とは違う…」
と漠然とした不満を抱きながら、いつも『自分に合う仕事』を
探している人の方が多いのではなかろうか。

けれども、奥田さんが語ったこの言葉を噛みしめてみると、
その人の使命などというものは、風に乗って既に多くの人の元に
運ばれているのではないか、とも思えるようになる。
人はそのことに気づかずにいるだけなのではなかろうか…と。

そうだとするならば、なにゆえ人はそのことに気づかないのか。
私は、奥田さんの言葉の後段にその理由が隠れているように思う。

奥田さんは、その人の使命が風に吹かれて運ばれてきたら、
自分自身のエゴを一部断念する必要がある、と語っておられたが、
実は、これは逆説的にそうおっしゃったのではないだろうか。

つまり多くの人は、自分の思いとか考えとか、都合とか、好き嫌い
というものが邪魔をしてしまい、自らの使命を受け入れようとしない。
ここが気にくわない、あそこが自分に合わない、損得勘定が合わない…
などと様々な理由を見つけては、懸命に向き合うことを避けようとする。

奥田さんは「違うんだ」と言いたかったのかもしれない。
「あなたに与えられている今の仕事があなたの使命なんだよ!」
そう言いたかったのかもしれない、と私は思ったのだ。

番組で紹介されていたホームレスの支援という彼の仕事は、
まさに使命感なくしては到底務まらないであろうという厳しいものだった。
きっと、彼は彼の使命と向き合って、それを受け入れたのだろう。

使命という風は、自らが覚悟を決めたときに吹いてくる。
その風を、受動的にではなく能動的、かつ積極的に受け入れて、
その使命と格闘している人は、− その人のことをプロフェッショナルと
呼ぼうが呼ばまいが − 間違いなく人の心を打つ仕事をするのだろう。