ユニゾンTOPICS Vol.15(5/31配信予定)掲載記事
「温故知新:問題解決5つの鍵〜さびしい笑顔のイエスマン〜」
の全文をご紹介いたします。

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 このごろ「消極的な楽天家」が増えているように思えてならない。
普通の意味での楽天家とは、「まぁ明日はなんとかなるさ(するさ)、
クヨクヨ思い患わないことだ」と考える人のことだが、消極的楽天家は
「明日はなるようにしかならない、オレの出る幕はない」という発想に
なっている。

 Learned Helplessness(学習性無力感、あるいは獲得された無力感)
という言葉がある。挫折や失敗体験などの積み重ねがもたらす一種の
心の病ということができるだろう。野生のゾウを飼い馴らすときに、
足に鎖をつけ、どんなに暴れようが絶対に逃れられない状態にして
おくという。いくら脱走を試みてもムダなあがきだ、ゾウしようもない
と分かると、その後は、簡単に地面から抜けるはずの杭につないでも
おとなしくしているようになる。人間もこのゾウをバカだなぁと
笑ってはいられない。

 自らの力が環境を変え得るのだということを忘れ、環境に飼い馴らされ、
環境を恨みつつ迎合する。これが消極的楽天家の姿であり、学習性無力感
の病状なのである。

 「問題解決力の向上」という問題を解決するに当っての最大の難関が
ここにある。重症患者にとっては、問題そのものが存在さえしないだろう。
軽症の場合であっても、「どうせたいしたことはできない」という前提に
立っているのだから、おざなりの努力にしかなり得ない。問題解決者で
あるための決定的要件は、学習性無力感からの回復なのである。

 「むりです」「できません」「やってはみたんですが」「前例からすると」
等々、職場でよく耳にするセリフである。これらは程度の差はあれ、
罹患していることの兆候であるとみてよいだろう。とすると、患者数は
想像以上に多いことになる。しかも、日常的な問題解決が最も集中する
はずの中間管理職ほど、罹患率は高いのが一般的である。

 「サンドイッチの悲劇」という一言がその理由の大半を説明する。
管理者に登用されたといっても、その時点で充分なマネジメント力や
リーダーシップを備えているわけではない。また、経営感覚という点でも
まだまだ未熟という状態であろう。となると、使命感に燃えて打ち出した
方針や施策も、下からは反発され、上からは否認されるというケースが
当然出てくる。試練が次々と訪れる。そのつど学び成長できれば問題はない。
しかしそのような人が多くいるようには思えない。むしろ、鎖につながれた
ゾウのような無力感を学習してしまう方が多いのではなかろうか。酒場に
おける管理職諸氏のグチ、不満、批判が、その証明でもあるだろう。

 問題解決のノウハウ本や研修も、まずはこの根本を断ち切らなければ、
単なる知識の修得に終ってしまう。いかにすれば「自己効力感」を持たせる
ことができるか、ということを企業は真剣に模索する必要がある。
「さびしい笑顔のイエスマン」を生みだし続けてはならない。

 この病のカルテに書かれるべき治療方針は「成功体験の逆学習」。
そして処方箋には5種類の薬が指示される。「問題解決5つの鍵」が
それである。5つの鍵については後述するが、これらは問題解決だけに
必要とされるものではなく、ビジネス人として成果を上げるためにも
不可欠であり、さらにいえば企業経営そのものにとっても必須の要素である
といえる。5つの薬を適切に用いて成功体験を味わわせ、「学習性効力感」
を徐々に強化していくことが、問題解決の向上、ひいては能力開発を進める
に当ってのベースになる。

「問題解決5つの鍵」については続きをご覧ください


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