ユニゾンのENSEMBlog

「人と組織のマネジメント」にユニークな価値を提供し続ける企業
「株式会社ユニゾン」
マネジメント研修を事業のドメインに据える
同社の社長とスタッフたち(ときどき)とで綴るブログです。
頻度はそこそこ、中身は真面目にがモットーです。

名ばかり管理職

休日の研修に思う

【PR】『はじめての管理職100問100答』こちらから購入できます!【PR】

私たちユニゾンの研修は、
金曜・土曜の2日間を使って実施されることが多い。

これは、私たちユニゾンが管理職層やリーダー層を
対象とした研修を得意としていることと無縁ではない。

なぜ、管理職研修やリーダー研修が休日絡みで実施されるのか?
その最大の理由は、平日に彼らを研修に出席させると業務が
滞ってしまうという恐れが、企画者サイドにあるからだ。

本当に業務が滞ってしまうかどうかは別としても、実際に
彼ら管理職やリーダーが現場を離れられない職場は多い。

彼らが“名ばかり管理職”やプレイングマネージャーだから
現場を離れられないなどと言っているのではない。
部長、本部長、事業部長という肩書きを持った上級管理職ですら、
現場を離れられなくなっている職場が少なからずあるのだ。

どうして、彼らはこうも忙しいのか。
私は“行きすぎた内部統制”が1番の理由ではないかと考えている。

コンプライアンス、情報セキュリティ、種々の労務管理…
時代の要請だから仕方がない、と言ってしまえばそれまでだが、
上級管理職がすべての意思決定に目を光らせていなければならない
というような職場が、そこで働くメンバーの意欲をかき立てる環境
であるとは到底思えない。

私は、参加して下さる方々が休日を返上しなくても良い
管理職研修・リーダー研修が増えることを願っている。

『名ばかり管理職』に厚労省が通達

【PR】『はじめての管理職100問100答』こちらから購入できます!【PR】

一昨日(9日)、厚生労働省が全国の都道府県労働局長宛に、
多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督職の
明確な判断基準を通達した(厚生労働省・報道発表資料にリンク)。


通達に示された“このような要素があると管理監督職とは言えない”
とされたポイントをまとめてみると、

(1)アルバイト・パートの採用・解雇についての権限がない
(2)部下の人事考課が職務内容に含まれていない
(3)自身の労働時間に関する裁量がほとんどない

といった点が挙げられる。

種々の報道にもあるように、
今回の通達の対象となる小売・飲食業などの店舗で働く店長や、
店長に準ずる立場にあるマネージャー・リーダークラスの方々の多くが、
“法的には”管理監督職ではない、と扱われることとなる。

会社からは管理監督職であるとされ、相応の権限を委譲されないまま、
長時間労働・低賃金という過酷な労働条件で働いている方にとっては、
朗報と言っても良い判断だろう。

だからと言って、彼ら、店舗を実質的に切り盛りしている店長たちに、
残業代をきちんと支払えば、問題が解決するということではないと思う。

通達に示された要素を満たす(法的に管理監督職ではない)としても、
現実問題、店舗の経営責任を担っているのは彼らである。
お店で働く多くのアルバイト・パート従業員たちから見れば、
彼らが現場の管理監督職でなければ、安心して働くことはできないだろう。

法的な解釈はどうあれ、現場においては管理監督職の責務を、
今後も果たしていかなければならないのが、彼らの務めとなるはずだ。

となると、通達の対象となる企業は(サービスの質を落とさずに)、
店長たちの労働環境を改善していくと同時に、彼らを管理するのではなく、
しっかりとお店を経営してもらうために、相応の権限委譲を図っていかなければ
ならないと思う。

そして、「我が社の店長とは一体何をする人なのか?」、
その責任と権限を明確にし、全社レベルで共有を徹底する必要があろう。

いよいよ係長が復権か?

【PR】『はじめての管理職100問100答』こちらから購入できます!【PR】

最新号の日経ビジネス(2008年7月7日号)の特集は、
『強い課長の作り方〜6割の職場に「名ばかり管理職」〜』。

世の課長さん方に“課長らしい仕事”をしてもらうための方策を、
いくつかの企業の実例を交え紹介する内容だった。
“課長らしい仕事”というのは敢えて差し置いて、
記事の中に気になるトピックを見つけた。

それは、『係長復活させたシャープ、トヨタ』というもの。
記事によれば、シャープは課長職の下に小さなグループを置いて、
復活させた係長に数名の部下を持たせる機構改革を行ったらしい。

業務過多で機能不全に陥った課長職の負担軽減を図るとともに、
係長には管理職候補としての準備もさせるという意図があるようだ。

このような“準リーダー的役職”の復活は係長だけにとどまらない。
ものづくりの現場では“班長”を復活させる企業もあると聞くし、
私たちのお客様企業においても“サブリーダー”を新設した組織もある。

いずれも、きめの細かいマネジメントを実施することで、
部下を育て、組織自体を活性化させることを目論んだ動きだ。

とここまで書き連ねて、過去にも“係長”を扱ったエントリーが
あったことを思い出した。
1年半ほど前の記事だが、以下、あらためて転記しておく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥・・・・・・・・
過去記事:『係長の復権』(2006年12月22日エントリー)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥・・・・・・・・
「最近、係長って見かけなくなりましたね」
先日、名刺の整理をしていたスタッフがこんな話をしていた。

確かに、係長という役職の方を見かける機会は減ってきている。

事実、今まで“係長”という役職を使っていた企業でも、
この役職名自体を廃止したり、別の役職名(例えば、課長代理)に
置き換えているような例が少なくない。

一般的には、主任以上課長未満の職位である“係長”。
悪く言えば、中途半端なイメージを持たれやすい役職なのかもしれない。

例えば、いつになっても出世できないサラリーマンを揶揄した言葉に、
「万年係長」というのがあった。これも係長という役職名が持つ、
責任があるのかないのかわからない、何となくお気楽なサラリーマン、
といったイメージに根ざした言葉だったのだろう。

昔、私が社会人となったばかりの職場にも係長が何名かいた。
私を含めた若手社員からすれば、とても頼りになる先輩社員であった。

仕事でわからないことがあれば教えてくれるアドバイザーであり、
ときには、上役からの盾となって支援してくれるサポーターでもあり、
今で言えばメンター的な役割も果たしてくれていた。

思い起こせば、当時の係長は、
上役と平社員の心を繋ぐブリッジのような役割を担っていた。
そして、彼らに課せられた重要な使命の一つが
“若手社員の育成である”という雰囲気が、職場にはあった。

まだ余裕のある時代だったのかもしれない。

しかし、昨今メンター制度を設ける組織が増えている、
などという話を聞くにつけ、
“しゃっちょこばった”仕組みなどをつくるよりも、ここは一つ、
「心ある係長に再登板願いたい!」と、個人的には思うのである。

『名ばかり管理職』の問題はひとまず決着?

【PR】6月6日(金)に無料セミナーを開催!詳細はこちらをご覧下さい!【PR】

一昨日20日、外食最大手のマクドナルドが、
今後は店長にも残業代を支払っていくということを発表していた。

店長の訴訟がきっかけで、
いわゆる『名ばかり管理職』の問題に火をつけた観がある同社の方針転換で、
同様の問題を抱える外食や小売り他社にも追随の動きが波及するだろう、
との見方がメディアの趨勢であるようだ。

しかしこれで『名ばかり管理職』の問題が解決したのか?となると話は別である。
現に店長に残業代を支払うことを発表したマクドナルドも、
「それでも店長は社内的には管理職である」という姿勢を崩していない。
そもそもこの問題の焦点は、“残業代云々”の話ではなく、
店長が“法律の定める”管理監督職の要件を満たしているかどうかである。

この問題に対する一連の動きを眺めていると、法律で定める管理職の定義と
現在の組織における現実的な管理職の定義が乖離してきているのでは?
という印象が否めない。

大体、『私は経営と一体の立場で経営方針の策定に参画している』などと
感じている中間管理職がそれほど多く存在しているとは思えないのだ。
いやそれどころか、『自分の組織の方針すら自分で決めることはままならない』
と感じている中間管理職がほとんどなのではないだろうか。
そのように考えてみると、法律上の定義を、変化の激しい現代の企業組織に
持ち込むことさえナンセンスに感じてしまう。

個人的な見解を述べさせていただくなら、『名ばかり管理職』の問題は、
(私は法律上の管理監督職であるというような)何らかの枠が設けられなければ
安心して働くことができない、と感じている現代の労働者の不安な気持ちを
象徴しているように思えてならない。逆に捉えれば、意識的にせよ無意識にせよ、
設けられた枠の中で働くことを望む労働者が増えているとも考えられる。

仮に、そのような雰囲気が多くの職場に蔓延しているのだとするならば、
今後、活力ある組織が増えることは期待できないだろう。

【PR】『はじめての管理職100問100答』こちらから購入できます!【PR】
ユニゾンの書籍


『はじめての管理職100問100答』

(株)ユニゾン 堤幸政/河村亜紀 著

明日香出版社

QRコード
QRコード
最近のコメント
twitter