私の弟は今年の新入社員です。
現在は地方に配属され、ルート営業を担当しています。
最近その弟から、営業活動の悩みを訴える電話が頻繁にかかってきます。

悩みの多くは“具体的にどんなことをやればいいのかわからない”との内容です。
よくよく聞いてみると、教育担当の先輩が細かくアドバイスをしてくれないことに
戸惑っている様子なのです。何かアドバイスが欲しそうな弟に対して私は、
「お客様との親密感をつくるために、とにかく何回でも行くんだよ!」
と一言だけ、温かい(?)言葉をかけました。

けれども、新人の頃はこれが難しいのです。事実私もそうでした。
お客様と何を話して良いのかわからず、初めて一人で訪問したお客様先での
滞在時間はわずか15分でした。
そうすると二回目にそのお客様を訪問するのがとても怖い。

「また、沈黙ばっかりだったらどうしよう」
「せっかく時間を頂いてるのに有益な情報を提供できないかも…」

と再訪問するのを避けていたことを思い出します。
しかし、私も「ハラ」を決めて多少なりとも経験を積んできました。
今では、お客様先で“2時間”話し込んでしまうこともあります。

かつて私の前に立ちはだかっていた壁に、今弟がぶつかって悩んでいるのを聞き、
姉として感慨深いところがありました。
しかし、これは自分で突破しなければならない壁。
彼の先輩の“想い”がわかるだけに、事細かなアドバイスはしませんでした。

と同時に“私がもたもたしていると弟に追い抜かれてしまう”と、
改めて気を引き締めた一件でした。