「モチベーター」なる言葉を耳にする機会が増えている。

大辞泉によれば、“心理学や精神分析学の手法を用い、
 人にやる気をおこさせる技術を習得した専門家”とあるが、
人材教育に携わる同業他社やお客様から、この言葉を耳にする限り、

会社組織において“メンバーのモチベーションを高めてくれる人”
を指して「モチベーター」と呼んでいるようである。
(ちなみに、犬をしつけるために使うご褒美もモチベーターと呼ぶらしい)

私たちユニゾンでは従前から、モチベーターと近しい意味で、
「モラール・クリエイター」という言葉を使っている。

モラール(集団の士気)をクリエイトする(創る)人、
つまり、組織のやる気を高める牽引者的存在のことである。
また逆に、集団の士気を削ぐ人を「モラール・ブレイカー」と呼ぶ。

どの組織にも、一握りのモラール・クリエイターと、
同じく一握りのモラール・ブレイカーが存在する。

そして、両者の間に大半のメンバーがいるのである。
その集団の性格は、両者の綱引きによって定まると言って良い。

モラール・クリエイターが綱引きに勝てば、活気溢れる集団となろう。
しかし力が強いのは、スターウォーズのダークサイドよろしく
モラール・ブレイカーなのである。

なぜ、モラール・ブレイカーの力が強いのか?
モラール・ブレイカーに共通するのは、
一見、論理的思考能力が高く、正論や“べき”論が得意な点である。
それらを振りかざして、自分では何もしない評論家タイプが多い。

彼らは他のメンバーに、自分たちが恵まれないのは、
「社長・会社・商品・上司・仲間が悪いせいで、我々は悪くない」
とささやいて仲間を増やす。残念ながら、集団は易きに流れるのである。

では、モラール・クリエイターはどうすれば良いのか?
モラール・クリエイターの武器に“ささやき”はない。
武器は、私心淡泊であることと、集団に貢献する実践(行動)である。

モラール・クリエイターに共鳴する心あるメンバーが一人、二人と増え、
やがて、利己主義的な行動や評論家的な言動が「恥」とされるようになる。
正直者が馬鹿を見ない「恥の文化」が醸成されることで、
初めて組織は活性化するのである。