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日経ビジネスの最新号(4月12日号)に本日のタイトル、
『ゆとり世代は男子も「一般職」』という記事が載っていた。

昨年の就活、すなわち今年の新人が就職活動をしていた頃から、
男子学生の一部が一般職を希望しているとの報道がなされている。
今回の記事によれば、来年春の採用に向けた学生の就活においても
同様の傾向が見られ、しかもこの傾向が広がりつつあると言う。

彼らが一般職を志望する最大の理由として挙げられていたのは、
「遠方への転勤がないこと」。他には、今までは派遣に流れていた
学生たちの正社員志向が背景にあるとの見方も紹介されていた。
さもありなんという話ではある。

けれども私がこの記事で一番気になったのは、一般職採用をしている
大手企業の採用担当者の話として紹介されていた以下の言葉だ。
「一般職に応募する男性は、まず採用しない」

だったら一般職の採用などやめてしまえば良いのに…

“一般職”、私が社会に出た頃はまだメジャーな言葉だった。
そのイメージは“結婚前の女性の腰掛け”的な仕事。
お茶くみやコピーとりといった前時代的な雑用も含め、
事務全般を担当する“寿退社”前提の仕事だったと言っても良い。
事実、私と同い年の女友達の多くは“寿退社”で一般職で採用された
会社を辞めていった。

あれから約20年。雇用における男女の性差区別を原則禁止した
改正男女雇用機会均等法の骨子は、社会通念として十分定着したと思う。
その間、私が知る限りでも一般職の採用をやめた企業は少なくない。
未だに公然と?一般職の採用をしているのは金融業界くらいだろう。

いや、法律があるから一般職の採用をやめろなどと言うつもりはない。
それらの企業に一般職が必要なのだとしたら、その職務がどのようなもので、
どのような能力を有する人材が必要なのか、ということをもっと具体的に
且つ明確に示す必要があるのではないか、ということなのである。

一般職志望の男性は採用しないと言う件の採用担当者に、是非聞いてみたい。
「御社の一般職に求められる能力とは、どんな能力なのですか?」
その能力が本当に女性にしか備わっていない能力なのだとしたら、
一般職志望の男子学生も諦めることだろう。
しかし、果たしてそのような能力が本当にあるのだろうか?

穿った見方をすれば、一般職採用を続けている企業の一般職には、やはり
能力以外の要素で女性でなければ満たされない条件があるのかもしれない。
ひょっとすると、おじさま方の目の保養としての“職場の華”だったり、
多忙なエリート社員たちの“花嫁候補”だったりするのかもしれない。
もしそうだとすれば、それらの企業の“ダイバーシティ(多様性)”に
関するメンタリティは昭和の頃からまったく進化を遂げていないと言える。

もちろん、そんなことはないはずだ(と思う)。
だからこそ、一般職採用を続ける企業にはその職務に相応しい能力を
極力定量的に定義した上で、採用に臨んでほしいと思うのだ。

例えば、OA能力がどの程度あるといったことだけではなく、仮に今は
公にしていない“一般的に男性より女性の方が優れているとされている
女性らしい細やかな気遣い”といったような採用基準があるとするなら、
それさえも具体的にオープンにしてほしいのだ。

「当社の総合職は気位の高いおじさんが多いので、一般職には彼らに
 気持ちよく仕事をしてもらうためのサポート能力が欠かせません。
 口答えは厳禁。いつでも笑顔を絶やさず、時にはお追従もさらりと
 言えること。したたかに(でもそれを悟られないように)業務を
 こなすことができる人材を広く募集しています」

せめてこれくらいはオープンにしても良いのではないだろうか。

追記:上記はもっぱら一般職を採用する企業について書いてみたが、
    その責を企業の側にだけ負わせるわけにもいかないだろう。
    一方では“花嫁候補”を志望して、敢えて一般職を希望する
    女性たちもいるからだ。無論、そんな女性たちの価値観も
    否定されるべきものではない。しかし今後、労働者人口が
    激減していくであろうこの国の将来を考えるにつけ、
    そんな女性たちの存在も大いに気になるところである。