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研修講師の仕事を始めてから、
組織によって「○○がこんなにも異なるんだ!?」と驚くことは多い。

例えば、同じ研修プログラムを違う企業の課長職に実施したとする。
プログラムの中には、あるテーマについてグループで討議して、
討議した結果を模造紙にまとめて発表する、という課題がある。

その、模造紙にまとめる“まとめ方”一つをとってみても、
それぞれの企業や組織の個性が出てくる。

理系出身者が多いメーカーの技術系の課長職研修では、
マインドマップやフローチャートなどの図解が多く出てくるのに対して、
販売会社の営業マネージャー研修などの営業系の課長研修では、
生々しい数字と堅い文字が多く書かれている、と言った具合だ。

これは当然と言えば当然と言えるかもしれない事象だが、
この仕事を始めて、私が一番驚いたのは、企業や組織によって、
「使われる言葉が、これほどまでに違うものなのだ!」ということだ。
企業や組織の文化は、話す言葉にも色濃く表れる。

無論、それを悪いことだと言うつもりは毛頭ない。
しかし時には、使っている言葉を点検してみる必要があるのでは?
と強く感じることもある。

以前、ある大手企業の課長研修を担当した時の話である。
グループ討議の際、各グループから、何やらこちらが眉をひそめたくなる
ような言葉が聞こえてくる。「まさか?」とは思いつつ、耳を澄ませて
話を聞いてみても、やはり、あからさまに女性を蔑視する言葉なのだ。

私が「その○○という言葉はどういう意味で使っています?」と尋ねると、
やはり、女性を低く扱う言葉として使っていることがわかった。

「今のご時世、そんな言葉を使っているのは問題ですよ!」
私が指摘すると、ほとんどの受講者が最初はきょとんとした様子だったが、
やがて受講者の1人が反省の弁を述べた。

「入社した頃は違和感を感じていた言葉だったんですが、
 役員以下すべての上役たちが使う言葉だったので…
 私たちも麻痺してきていたのかもしれません…」

彼ら1人ひとりは他の組織と比べて、むしろ紳士的と呼べる方々だった。
そんな彼らをしても、組織の文化には染まっていくのである。
そして組織の文化は、その組織に属する人間が普段使う言葉にも表れる。

繰り返し申し上げるが、だからこそ私たちは、
自分たちが普段使っている言葉を、時には点検してみる必要があるのだ。

この出来事が私に教えてくれた通り、私たちが使う言葉、
ひいては、私たちの内輪の文化がすでに社会通念から逸脱してしまっている、
などということが、発生しているかもしれないからである。