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 『部下を褒める際には皆の前で、叱る際には2人の場で』

一般に言われている、部下を褒める・叱る際のセオリーである。

今日日、多くの管理職方がこのセオリーに従っているようだ。
私たちの研修に参加される管理職方を見ても、
このセオリーが私の想像以上に浸透していることを実感する。

皆の前で褒められれば部下も悪い気はしないはずだし、
皆の前で叱られることを喜ぶ部下は多くはないはずだから、
管理職としてこのセオリーに従うことは、無論間違いではない。

しかし昨今、このセオリーに忠実であろうとするがあまり、
部下を叱ることができない管理職が増えていると感じる。

彼らの多くが、部下の意思を尊重したいと思い、部下が自発的に
仕事に取り組むことができる環境を提供したいと願っている。
それゆえだからだろうか、彼らは自分が管理職だからと言って、
上からものを言うような態度は好まない。そのような彼らが、
部下を叱ることに苦手意識を持つのも無理からぬことと言える。

では実際、彼らはどのように部下を叱っているのか?

大方の場合、相手と2人の場をセッティングする。
そして、その部下の心情に理解を示しながら感情的にならぬよう、
それこそ腫れ物に触るかのごとく諭す。そう、諭しているのだ。

傍目からはもちろん、当の部下からも、その管理職が“叱る”ことを
意図して話しているとは気がつかないような“叱り方”なのである。
これでは“労多くして功少なし”だ。

そのような叱り方では、その管理職は、普段から叱られる対象者の
言動を苦々しく思っていた周囲の人間(その他の部下や上司)から、
管理職失格の烙印を押されてしまうかもしれない。

せっかく?叱るのであれば、部下を叱るために奮い起こした勇気を
無駄にしないような叱り方をしたいもの。そのためには、ときには
前記のセオリーを無視して、“敢えて”皆の前で叱るということも
有用である。これには、周囲に管理職の気構えを示す効果がある。
また皆の前で叱られたことで、その部下が奮起して一層成長する
という効果が期待できることも少なくないのだ。

皆の前で部下を叱ることは、決してタブーではない。
本人と面と向かって叱るのがどうも苦手だ、という管理職の方々には、
是非、試していただきたい。