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職場のコミュニケーション不足が問題視されて久しい。
コミュニケーション不足は、従業員のモチベーションを阻害し、
メンタルヘルスを害する要因となり、組織の活力を失わせている…
などといったところが、卑近な問題となるであろうか。

このコミュニケーション不足を解消するために、昨今多くの企業では
ハード面、ソフト面問わず多大な投資をしている。我々のような研修を
提供する事業者も、一面ではその恩恵に預かっていると言えなくはない。
事実ここ数年、私たちの研修サービスにおいても、上司・部下との対話に
フォーカスした管理職研修の人気が高いからだ。そのような管理職研修では、

「どのようにすれば、部下との対話が増えるのか?」
「どのような対話をすれば、部下がやる気になるのか?」
「部下を育成するには、どのように褒め・叱ればよいのか?」

といった対話のハウツーをご紹介することも多い。しかし、管理職が対話の
ハウツーを会得したからと言っても、それが、部下のモチベーション向上や
メンタルヘルスを損なう部下の減少、組織の活性化に直結するわけではない。
いわんや、うわべだけの対話をいくら増やしても問題は解決しないはずだ。
対話はコミュニケーションのあくまでも一部に過ぎないからである。

では、コミュニケーション不足を解消するためにはどうすれば良いのか?

私自身が一つのヒントとしているのが、
『完全なコミュニケーションとは“経験の共有”である』という考え方。
これは、P.F.ドラッカーの著書「現代の経営」から拝借した言葉である。
彼は、コミュニケーションを“情報”ではなく“知覚”だと説いている。

すなわちコミュニケーションとは、情報そのもののやり取りを必ずしも
必要とするものではなく、その「場」を共有することによって、喜怒哀楽の
感情をも共有した時に初めて完全に成立するものである(と私は解釈している)。

そのように考えてみると、コミュニケーション不足を問題視する職場には
従業員同士が共有する「場」がなく、喜怒哀楽の感情を共有する「仲間」が
いないことが多いことに気づく。

そのような職場を預かる管理職は、
“話す・聴く”といった情報をやり取りするコミュニケーターとしての
スキルを磨く以前に、「俺たちは同じ釜の飯を食べているんだ!」という
雰囲気づくりにこそ力を注ぐべきではなかろうか。そのためには、
「同じ釜(共通目標)」を明確にし、“本気”で共有しようとする姿勢を
示すことが何よりも重要である。