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「管理」という言葉に生理的嫌悪感を覚える人も少なくない。
全体主義、独裁体制、規制、しめつけ、といった連想につながりやすいからだろう。

管理を意味する代表的な英単語としては、コントロールとマネージがある。
コントロールは「統制・支配する」といったニュアンスが色濃く、
マネージの方は「なんとかうまくやる」という意味合いがあるようだ。

コントロールとしての管理には抵抗がある人でも、
マネジメントとしての管理には進んで従っている場面もよく目にする。
芸術家や職人さんなどは、他人からの指図を嫌うタイプとしてすぐ思い浮かぶが、
コンサート中に演奏者が指揮を無視したりはしない。
「良い作品を仕上げる」という目的のためには、
コンダクターの「管理行為」にきちんと、しかも前向きに従うのである。

企業においても同様であろう。
管理者が「統制・支配のための管理」を行おうとすれば反発が生まれよう。
管理者とは「管理する人」ではなく、「管理を通じて良い成果を生み出す人」
なのだという原点を忘れてはならない。また、管理の本来の目的を考えたときに、
特に警鐘を鳴らさなければならないのは「管理放棄管理者」の存在である。

部下の自主性の尊重という美名のもとに、実質的には放任し、混乱させ、
組織文化を破壊し、経営破綻の元凶となっている。
このような「仕事をしない管理者」を生み出すのは、
同様に「仕事をしない上位管理者」が原因である場合もある。
「あいつを課長にするんじゃなかった」などと言う前に、
自分自身のマネジメントのあり方を振り返ることが重要であろう。

管理行為の不在、あるいは管理行為がもし圧力と受け止められているとすれば、
管理者の思想か手法のいずれかに間題がある。
そこで、活カヘつなげるための管理のあり方について考えてみたい。

○○管理という言葉を拾いだしてみただけでも、何十という種類がある。
これらの中から「成果」と「活カ」をキーワードとして、全ての管理者に共通する
ものを整理すると、以下に述べる「5つの管理領域」が浮かび上がってくる。
いやしくも管理職という立場にある以上、これらについての管理行為を行うことは
「ノブレス・オブリージ(職位に伴う義務)である」
という自覚を持って立ち向かっていただきたいものである。

■成果と活力のための5つの管理領域

1.目標管理(業績・成果目標をやり遂げるための管理行為)
「業績こそが企業における唯一の原動力である」
というドラッカーの指摘を待つまでもない。
木から落ちてもサルはサルだが、倒産したら企業ではなくなる。
管理者がいなくても業績が「上がり続ける」のなら、管理者は不要である。
目標管理を行わずして、管理者に存在理由はない。また、部下に達成感や充実感を
味わわせ、さらなる活力ヘと結びつけるにも目標管理は不可欠なのである。

【ポイントとなる管理行為】
・一段高いレベルの目標(課題)を統合する
・最終成果と同時に、プロセス目標を明確にする
・タイムリーに中間進捗をチェックし、フィードバックとプッシュを行う
・達成度・貢献度の測定尺度を明示し、公正に適用する
・目標に付帯する業務(顧客情報管理や見込管理など)へも関心を向けさせる


2.方針管理(指示、命令、方針の徹底を図るための管理行為)
「方針とは、繰り返される質間に対する不動の回答であり、繰り返し生ずる間題に
適用される持続的決定である」という定義があると同時に、
「企業は環境適応業である。故に朝令暮改お構いなし」とも言われる。
一見、矛盾するこれら両者の要請を満たすのが「方針管理」である。
方針を打ち出すということは、他の道は進まないという決断を下すことであり、
その決断から生ずる全責任を担うということでもある。
だから、抽象的、玉虫色、上位方針の垂れ流しといった傾向になりやすい。
結果として、額に入れて飾ってあるだけの状態を作ってしまう。
これでは部下の活力を引き出すどころか、部下を困らせ、管理者への不信感を高める
だけということになりかねない。

【ポイントとなる管理行為】
・上位方針を自部門方針・施策へとより具体化して打ち出す
・部下を右往左往させないよう、節目節目での方向づけを行う
・指示事項や約束事をうやむやにせず、納期厳守を徹底させる
・業務優先度の明示を通じて、マネジャーの想いを浸透させる
・指示命令系統の一元化に努め、自部門に関わる一切の責任を担う

3.利益管理(ムダを排し、経費効率を高めるための管理行為)
「利益=粗利−経費」小学生でも分かるような簡単な式である。また、利益が
上がらなければ、報酬や福利厚生の向上が期待できないことも自明の理のはずである。
にも関わらず、ザル会社(売上という水をザルですくい続けているような状態)が
いたる所で見受けられる。自分の懐が直接いたむわけではない、この程度は大勢に
関係がない、自分だけ楽や得をしたい、といった不心得が原因であるケースもある。
しかし、より重視すべきは「善意のムダ」であろう。
「なすべきでないことを効率的に行うことほど非効率的なことはない」のである。
投入資源当りの利益の多寡が、ビジネス人の力量を図るモノサシであることを、
日常のマネジメントを通じて浸透させる必要がある。

【ポイントとなる管理行為】
・発注や在庫などの経費管理をルーズにせず、コスト意識を浸透させる
・集中とリラックスのケジメをつけ、時間の有効活用力を向上させる
・官費精神が蔓延しないよう、小さな兆しに着目する
・未活用資源を放置せず、有効活用を促進する
・費用対効果センスをOJTで指導する(過剰サービス発生時など)


4.業務遂行管理(目常業務が効率的に行われるための管理行為)
権限委譲といえば聞こえは良いが、その裏には責任放棄という落とし穴が潜んでいる。
もし管理者が「その件はA君に任せてあるので、私にはちょっとわからないんですが…」
といった言を発するようであれば危険信号であろう。
管理者が自部門の業務すべてに精通している必要まではないにしても、
業務の円滑な遂行と効率化を促すためのツボどころは押さえなければならない。
また、部下に対するリコグニション効果(注目されている、見守られていることから
生まれるヤル気)を高めるためにも、業務遂行管理をおろそかにしてはならない。

【ポイントとなる管理行為】
・自部門内業務の遂行状況を掌に乗せる(誰が、何を、いつ行っているのか)
・ルーチン作業や事務処理などのムダ・ムリ・ムラを発見し改善する
・反復ミスやトラブルについては自ら乗り出し、抜本解決を図る
・業務遂行生産性の測定尺度を持ち、絶えずレベルアップを図らせる
・業務効率化の阻害要因(前工程のズサンさなど)排除の矢面に立つ

5.秩序維持管理(組織の秩序ある動きを確立するための管理行為)
「なぜあのとき、おれを打って叱ってくれなかったか」というアイソポスの言葉がある。
蟻の一穴から堤防が崩れるとも言われるが、「始まりはいつも小さい」のである。
この程度のことにまで目くじらを立てる必要もあるまい、などと鷹揚に構えていると、
とんでもないシッペ返しが待ち受けている。
「乱るるは易く、治むるは難し」を銘記すべきであろう。
秩序の乱れているところに相互信頼は生まれないし、連携プレイは望むべくもない。
まさに「モラルなくしてモラールなし」なのである。
秩序維持の目的は、皆を型にはめることにあるのではなく、
プレイ・オン・ザ・ルールの精神で成果を競い合う状態をもたらすことにある。

【ポイントとなる管理行為】
・勤務規律の確立に努め、正直ものがバカを見ない状態を作る
・整理整頓などの徹底で、スキッとした職場環境を保たせる
・「自分さえ良ければ」といったルール違反や身勝手を許さない
・長幼の序やエチケット・マナーなどに是々非々の判断基準を持ち、守らせる
・人間関係の軋櫟や乱れに敏感になり、早期発見・早期対策に努める