Q.管理職となって一ヶ月経ちました。

  メンバーたちも意欲的に動いてくれているようで、
  管理職としては順調な滑り出しだと感じています。
  ただ、私自身がこの後何をすればよいのかわからず、
  少々時間を持てあましています。

  私はこれからどんなことに取り組めばよいのでしょう?

管理職は自分が打ち出した方針をメンバーたちに遵守させ、
組織としての成果を上げていかなければなりません。
方針を出したらあとは部下任せ、では責任を果たすことはできないのです。
そして、その責任を果たすにはメンバーたちの協力が欠かせません。

そのため、方針を打ち出した後の管理職の仕事は、
大半がメンバーたちに振り向けられると考えてよいでしょう。
とは言え、メンバーの仕事ぶりを横目で眺め、その“出来・不出来”を
チェックするのが管理職の仕事ではありません。メンバーたちの意欲を高め、
目標達成への協力を引き出すのが重要な仕事になってくるのです。それら
メンバーたちに働きかける管理職の仕事を整理すると“5S”にまとめることができます。

一般に“5S”と言えば、製造現場の“5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)”が
有名ですが、この“5S”は「管理職の仕事の“5S”」と覚えておくとよいでしょう。

1つ目の“S”は「指揮」です。
管理職は方針を遂行するためにメンバーたちを指揮しなければなりません。
そのためには、常にメンバーたちの先頭に立って采配を振ることが大切です。

2つ目の“S”は「指導」です。管理職は各メンバーの進捗状況や仕事の進め方、
知識や技術のレベル、組織内での人間関係などをしっかりと把握しておく必要があります。
そして、進捗が芳しくないメンバーや問題を抱えるメンバーに対しては、
適宜アドバイスやコーチをしなければなりません。

そして、3つ目の“S”は「刺激」です。
管理職は一人ひとりのメンバーの意欲に注意を払い、タイミングよく“褒める・叱る”
などの刺激を与える必要があります。
ギャラリー(全メンバーや他組織のメンバー)を集めて、管理職から賞賛やねぎらいの
言葉をかけたり、メンバーたちに発言や宣言をさせたりするのも効果的です。

4つ目の“S”は「支援」です。メンバーの状況によって仕事を手伝う、
一緒に汗を流す、時には一緒に泥を被る、というのが「支援」にあたります。
管理職が各メンバーの目標達成に積極的にかかわる支援もあれば、
何も言わずに自分の姿を見せるのがメンバーの支援になることもあります。

最後5つ目の“S”は「執行」です。
これは「メンバーたちに、何が何でも目標をやり遂げさせる」という強い意志を
管理職が示すことです。そのためには、管理職が各メンバーの目標達成に
こだわりを持って、粘り強く取り組むことが求められます。

以上の“5S”に真剣に取り組めば、
管理職となって時間を持てあますようになった、というようなことはないでしょう。