Q.部下が失敗をしたときの対応の仕方がわかりません。先日も、失敗をした
  部下に対してつい感情的に叱ってしまい、その部下を萎縮させてしまいました。
  部下が失敗をしないよう注意は払っているのですが、もし部下が失敗をしたときには
  どのように対応すれば良いのでしょうか?

管理職がどんなに気をつけていても、部下は失敗をするものです。
もちろん、失敗はしない方が良いでしょう。しかし、失敗を通して部下が成長するのも
事実なのです。あなた自身のことを思い返してみても、失敗が成長の糧となったことは
一度や二度ではないはずです。
従って管理職は、部下が失敗をしたときこそ成長の重要な機会と捉え、
「失敗はさせないようにして、どんどんさせた方が良い」という一見矛盾した考えを
拠り所にする必要があります。その上で、部下が失敗をしたときはどのように対応
すれば良いのかを具体的にご紹介しましょう。

部下の失敗にも色々あります。
例えば、管理職への報告を怠ったために手遅れとなってしまったような失敗や、
不注意がもとで発生した失敗、経験やスキル不足が原因の失敗、積極的に挑戦した
結果の失敗などが考えられます。それぞれの失敗に応じて、管理職が対応を変える
必要があるかと言えばそうではありません。すべての失敗に共通する「対応の原則」
があるのです。

まず、「頭ごなしに叱らない」ことです。
大半の部下は失敗をしてしまったことを反省しています。そこに追い打ちをかけるように、
「バカヤロー!」「なんてことをしてくれたんだ!」「もっと頭を使え!」と激しい
叱責の言葉を浴びせかけてしまえば、ご質問のように部下は萎縮してしまうことでしょう。
また、部下を尋問するような口調で責めるのもいけません。
「どうしてこんなミスをしたんだ?」「なんでもっと早く相談に来なかったんだ?」
など、部下を問い詰めることのないようにしましょう。

では、どうすれば良いのか?
「原因と改善策を部下に考えさせる」ように導くのです。
「今回のミスはどんな点に問題があったと思う?」と質問を投げかけて、部下自身に
考えさせるのがポイントです。この問いかけに対して、ひょっとすると部下は言い訳
めいた話を始めるかもしれません。管理職としては、そこが我慢のしどころです。

部下の話に「うん、なるほど」と相づちを打ちながら忍耐強く言い分に耳を傾ける
ようにします。部下の話が一段落したところで、「どのようにしたら今度はうまく
いくと思う?」と次の質問を投げかけます。このプロセスを踏むことで、部下自身が
改善の方向性を見つけ出す可能性が高まるのです。

そして、どのような失敗に対しても「部下の努力や意欲、仕事ぶりや能力を認める姿勢を
示す」ことも重要な原則です。例えば、その部下の技術や経験・知識を考えるとクリア
するのが難しいと思われる事案にチャレンジして失敗した場合、たとえそれが管理職の
想定内の失敗だったとしても、まずは、「結果は残念だったけれど頑張ったな
(惜しかったな)」とねぎらいの言葉をかけたり、「チャレンジした意欲は素晴らしいよ」
と賞賛の言葉をかけることを忘れないようにしましょう。
その後で、前記の「原因と改善策を部下に考えさせる」ようにするのです。
また、管理職が予期していなかった失敗に対しては「今回のミスは君らしくないな」
と部下の仕事ぶりや能力を認めているという姿勢を示す言葉をかけるのが良いでしょう。