前職での経験だが、当時の上司にいらだっていたことがある。
提案書や企画書を作成し、彼のところへ持っていくと、
「やり直し!」と資料を見もせずに突き返されるのだ。

当然、心中穏やかではなかった。

時は流れ、私も部下を持つようなった。当時の私と同様に、
私の部下もまた、私に提案書を突き返されている。

今になって、当時の上司の気持ちが分かるようになった。
資料を見なくても、部下の表情を見れば一目瞭然なのである。
自分が持てる力の全てを出した時には、私が突き返そうとしても、
容易には引き下がらない。「なんでですか?」と執拗に迫ってくる。

反面、自分の提案や企画に対して自信が持てていなかったり、
最初からアドバイスを受けることを期待しているような時には、
こちらが「もう少し考えてみたら?」と一言添えるだけで良い。
自分の仕事に満足をしていなければ、再度やり直しをしてくる。

かつての私の上司も、私の表情を見て判断していたのだろう。
今の部下を見ていると、当時、良い仕事が出来ていないことを
上司に見透かされているのが悔しくて、何度も提出し直していた
自分を思い出す。

納期ギリギリになろうが、どんと構えて、
最後まで私にやり切らせてくれた元上司には感謝している。
一見理不尽な厳しさも、愛あればこその対応だったと思う。
おかげで今の私がある。

近い将来、私の部下もそんな風に思ってくれるに違いない!
(と信じよう・・・)