念仏を唱え続けていれば極楽浄土にいける。
そう信じて、暇さえあれば念仏を唱えていた老婆がいた。

ある日、大きな地震が起きて老婆は家の下敷きになって死んだ。
極楽行きか地獄行きか、沙汰をする閻魔の前に座った老婆は、
当然極楽に行けるものと確信していた。
しかし、閻魔の下した裁定は地獄行き。

怒った老婆が閻魔に食ってかかると、
「お前は確かに念仏を唱え続けていたかもしれない。
 しかし心から念仏を唱えたのは、ただの一度しかなかった」
閻魔は、そのように地獄行きの理由を老婆に告げた。

二年前に定年退職した講師から聞いた話である。
真心のこもっていない仕事はするな、
自分のことしか考えないような仕事はするな。
研修の際にも、彼は好んでこの話を引用していた。

古典的な話ではあるが、彼は、
ビジネスに取り組む意識や姿勢の重要性を伝えたかったのだろう。

それにしても、この老婆、ちょっと気の毒ではある。