人間が生きていく上で必要な能力は数多とあるが、想像力は
中でも、より良く“活きて”いくために重要な要素である。

テレビや映画、本などを見て、泣いたり笑ったりできるのも、
想像力があってのこと。
原作の本を読んだ後に、映画化された作品などを見ると、
余程でない限り「本の方が良かった」と思う。
視覚的にも聴覚的にも想像が制限される映像よりも、自分の好きなように
想像できる余地が多く残されている文字の方が、おもしろかったと思える
のは、至極真っ当だ。

これはビジネスの場でも同様である。
想像力があれば、自己の経験や知識から仮説を立てながら、
目的に向かって、未知の仕事に取り組むことができる。
自分のストーリーを持って仕事をするので、目的に対する
アプローチも得意な方法を生みだし、失敗が少ない。
なにより本人が仕事を楽しむことができる。
言いかえれば、“やらされ感”なく、仕事に取り組むことができる。

想像力を使わない仕事は、常に指示を待つ、言われた通りの
やり方でしか動けないロボットである。

ただ、想像力を使わずに仕事をしている方に限って、
「意味の無い仕事で忙しすぎる…」とか、「雑務や単純作業ばかりやらされる…」
などと、それらの仕事で気づきを得ようともせず、嘆くのである。
そして最後には「もっとクリエイティブな仕事がしたい」と言いながら、
その職場を後にする。

残念ながら彼らは、クリエイティブな仕事は待っていれば与えられると
妄想してしまっている。仕事は自分でクリエイト(創造)するものだ、
ということに気づくための“想像”力を持ち合わせていないようだ。

ただ、想像力が豊か過ぎて、自己の内側に世界を創造し、現実世界に
戻ってこれなくなる方もたまにいらっしゃるようなので、ご注意を。
何事も“過ぎたるは及ばざるがごとし”である。