部下よりも上司の方が忙しくしている。
昨今の職場では当たり前の風景のようだ。

昔はそうではなかった。課長、部長、本部長・・・と
上位役職者になるほど、暇があるように見受けられた。
そんな記憶が皆さんにもないだろうか?

先日、あるお客様と昔の上司の話になった。当時は、
出勤すると上司が新聞を読みながらコーヒーをすすっていたものだとか、
上司がうろつきまわり、やたらと話しかけられて困ったものだとか、
くだらない駄洒落を連発する上司への対抗策を考えていたものだとか・・・
古き良き時代(?)の上司の話に花が咲いた。

翻って昨今の上司はいかがだろう?
デスクで新聞を読んでいるなどもってのほか、
部下に雑談でもしかけようものなら周囲から白い目で見られる、
当然、上司がうろつける雰囲気にはない。
そのような職場が多いのではなかろうか。

昔は良かった、などと言うつもりは毛頭ないのだが、
職場のコミュニケーションが希薄になっていると言われる一因は、
うろつかない上司の存在にあるのではないか?私はそう思っている。

折しも先週末、ため込んでいたビデオで、
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見ていたら、
カードゲームのムシキングを開発した植村比呂志さん(部長)が、
部下の周りをやたらとうろつきまわる姿が紹介されていた。
彼曰く、部下が上司に話をしやすい環境を作らなければならない、
その信念の元に自分の今の行動がある(意訳)、とのこと。

植村さんの実績を部下は尊敬しているだろうし、
あまりにもレベルの低い駄洒落は連発しないだろう。
しかし、そんな植村さんでも部下の周りをうろつき続けるのは、
相当にしんどいことだろうな、と思う。

偶然、同じ番組を見ていたスタッフにこの話をしたところ、
「あんな上司がいたら、うかうかネットサーフィンなどできませんよね!」
とのたまう。なるほど。

高額のシステム投資をして、
従業員のメールやネット閲覧のログを監視する企業もあるようだが、
最もプリミティブ、かつ、最も効果があるのは
「うろつき上司」の存在かもしれない。

そこで、はたと気がついた。
当のスタッフは一体何が言いたかったのだろうか?