ユニゾンTOPICS Vol.14 に新連載のトピック
「俺は社労士、それがどうした!:『目標管理制度』について考える」
の続き(メルマガ未掲載箇所)をご紹介いたします。

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そもそも「目標管理」とはどのような概念だろうか。

諸説あるが、
目標管理という概念はドラッカーによって創出されたとするのが一般的であろう。
ドラッカーは様々な著書の中で一貫して目標による管理の必要性を述べるとともに、
経営者が有する最大の課題は、
人間が本来持っている意欲をどのようにして引き出すかにあると説いている。※注1)

また、X理論・Y理論で有名なマグレガーは、
上司が持つ権限をできるだけ部下に委譲し、仕事のプロセスで上司と部下が
それぞれの責任を分担し合うべきだと主張。
この考えはGEなど多くの企業に影響を与えた。

その結果、マグレガーは次のような結論を導き出した。

1.目標設定の手続きに部下を参加させると好ましい結果をもたらす
2.上司と部下が相談して決めた適切な目標が達成されたときに業績は最も向上する
3.目標達成に向けた部下との話し合いは常時行うべきで、
  1年に1回や半年に1回など、予め決められたタイミングだけ行えばよい
  というものではない
4.批判することは目標の達成にネガティブな影響を持つ
5.目標管理は、昇給や昇進とは分けて行うべきである ※注2)

ドラッカーやマグレガーはいずれも今日では古典的な解釈と言っていい。
とは言え、彼らの主張を整理してみると
時代に影響されない普遍的な要素が多いことに改めて気付く。

目標管理を現場でうまく機能させるポイントを整理すると、

1.目標管理は一つのマネジメントツールであり、
  「目標管理シート」の作成が目的ではない。
  このことを上司がしっかりと自覚すること
2.目標を設定したらあとは部下任せにせず、上司が一緒になって課題解決、
  目標達成に当たる姿勢が必要不可欠であること
3.一度目標を設定した以上、部下もハラを決めて全力で目標達成に邁進すること。
4.上司は、部下が取り組んだ結果に対する評価を然るべきタイミングで
  きっちりフィードバックすること。
5.目標管理ではあくまで動機付けを重視し、
  処遇の決定や改定をちらつかせることによって
  部下を追い詰めるような運用は避けること。

いずれも、“言うは易く行うは難し”であろう。

ただ、これらに気を配りながら、まずは上司が本気で変わっていくことができれば、
部下の動機付けにもかなりの手応えを感じることができるであろう。

目標管理で大切なのは、
実績を追求するあまり管理統制型のマネジメントに走るのでなく
上司と部下が日々の行動を同じ目線で見つめながら、
共通の「目標」に向かってタッグを組んで邁進するという姿勢である。

そのためには上司と部下の日頃のコミュニケーションが必要不可欠となることから、
必然的に組織の活性化が図れるのではないだろうか。

ご参考までに、
それぞれの現場で目標管理を上手く機能させるためのチェックポイントを以下、
上司・部下の立場でそれぞれ整理したのでご覧いただきたい。

繰り返しになるが、
目標管理では目標そのものよりも目標達成に向けた行動プロセスを
上司と部下で共有する姿勢が重要となる。
結果や成果だけでなく、上司が部下の行動プロセスそのものに関心を向けるだけで
モチベーションが高まる部下もいるのである。

(目標管理を上手く機能させるためのチェックポイント)

【上司】
□目標管理のための面談は行っているか
□成果レベルよりもむしろ達成プロセスのすり合わせに注力しているか
□目標は押しつけになっていないか
□部下が持っている課題を共有化しているか
□目標達成の最終責任は自分にあることを認識しているか
□本気で達成するという姿勢を先ずは自分が示しているか

【部下】
□目標設定の課程で自分の行動プロセスをしっかりと考えているか
□毎年毎年、同じ目標の手直しでお茶を濁していないか
□できもしない目標を掲げていないか
□目標達成に向けた行動プロセスが具体的にイメージできているか
□目標はあくまでも自発的に設定したか
□設定した目標は必ずやり遂げるハラを決めているか


【一部引用】
※注1)ドラッカー著、上田惇生訳『〔新訳〕現代の経営(上)(下)』ダイヤモンド社
※注2)マグレガー著、高橋達男訳『企業の人間的側面』産能短大出版部

【参考文献】
ドラッカー著、野田一夫/村上恒夫監訳『マネジメント(上)(下)』ダイヤモンド社
ロック/ラザム著、松井賓夫/角山剛訳『目標が人を動かす』ダイヤモンド社
湯浅清著『目的管理のすすめ』日本能率協会マネジメントセンター
小野公一著『ひとの視点からみた人事管理』白桃書房 
東京都社会保険労務士会編
『事例 中小企業のための賃金制度・人材活用のポイント』同友館