人前で喋ることすらおぼつかなかった後輩が、
立て板に水のごときセールストークを話すようになっている。

お客様の言われるままに値引きをしていたセールスが、
いつの間にか値引きをしなくなっている。

メール一本満足に書くことができなかった部下が、
上司が唸るほど立派な提案書を作るようになっている。

“あれ?コイツこんなにデキるやつだったっけ?”

仕事の場でこんな思いを持ったことはありませんか?

私には、このような経験がしばしばあります。
そんな時は、彼らの成長が嬉しい反面、
そのことに気づかずにいた自分を恥ずかしく思ったものです。

特に、部下を持つ立場となってからはなおのこと。
一人一人の成長に対して敏感でありたい、と意識していたのに、
なにゆえ見過ごしていたのだろうと自問自答したこともありました。

しかし、他人の成長は、ある日突然感じるもののようです。

先だっても、ごく身近で仕事をする部下に対して、
“いつ、こんなに成長したんだ?”と感じることがありました。

「ウデを上げたなぁ」、そう私が声をかけると、
「そうですか。自分では変わってないと思いますが・・・」
と本人からは至って素っ気ない返答。

なるほど、本人にとってはそうなのかもしれません。自らを振り返っても、
自分が成長したかどうかは、後になってみなければわからなかったものです。
そんなことを考えていて思い出したことがあります。

子どもの頃、「イナズマン」というテレビ番組がありました。
ちょっと変わった変身ヒーローもので、
主人公はまず「サナギマン」に変身してエネルギーを充填してからでないと、
「イナズマン」に変身できない、という実写の特撮番組でした。

「サナギマン」は、防御には適していますが攻撃力が弱く、
敵方の怪人にボコボコにされてしまう場面が多くありました。
その苦労(?)を経てエネルギーが充填されると、晴れて、
無敵の「イナズマン」に変身できるのです。

仕事における成長とは、多分そのようなものなのかもしれません。
(unison1)