aa54186f.jpgこの本の著者、ダイエーの現社長である樋口さんとは
浅からぬご縁がありました。
私の中では、ちょっとした(いや、かなりの)自慢です。

1998年夏、PCメーカー担当のOEM営業だった私は、
単身ヒューストンに出張をしました。

などと書くと、何だかかっこいい(?)のですが、
当時のコンパック本社に「あるモノ」を届けるだけの仕事。
しかも、担当営業がパスポートを失効していたがゆえの代理出張でした。


今から思えば、随分と気楽に出かけてしまったものです。
営業鞄に下着だけ詰めて熱波のテキサスへ。
珍道中のあげく何とかヒューストンには着いたものの、
先方からの連絡をホテルで待つことだけがミッション。

一日経ち、二日経ち、三日経ち・・・待てど暮らせど連絡がない。
ろくに英語も話せない男が、
Tシャツ、短パンに革靴を履いて、部屋から一歩も出ない。
おそらくホテルの従業員は、相当不審がっていたと思います。

気が触れんばかりの心理状態に陥りそうになったその時、
待ちに待った連絡を下さったのが、樋口さんでした。
当時樋口さんは、コンパックの日本法人でコンシューマPCの責任者をなさっていました。

程なく、ホテルでお会いしたのですが、
私は初対面にも関わらず、抱きつかんばかりの勢いだったと思います。
まさに「地獄で仏に会う」です。
それからの数日、とてもよく面倒を見ていただきました。

この「愚直論」でも、当時の樋口さんのお仕事ぶりが書かれていますが、
こんな大変な時期であったのに、
イヤな顔一つせずに帰りの空港までお送りいただいたことを思い出し、
今さらながら頭が下がります。

その後、日本HP社の社長になられるまでの間、
何回か酒宴をご一緒いただき、親しくお話もさせてもらう機会がありましたが、
スマートな印象や語り口とは裏腹に、お人柄は「愚直論」そのもの。

「最後はマインドだよ」
樋口さんにそう言われれば、異論を唱える余地がありません。
穿って読むことは厳禁!、と言いたくなる熱い本でした。

若輩が生意気を申し上げますが、
ますますのご活躍を祈念いたしております。頑張れダイエー!