本日(12/15)配信のメルマガ「ユニゾンTOPICS Vol.6」掲載記事
「温故知新:『いい仕事をさせる』ために〜ユニゾン版・マネジメント5つの機能〜」
全文を掲載いたします。


「マネジャーとしてのあなたのモットーは?」と問われた時に
「いい仕事をし、部下にもいい仕事をさせること」と
ズバリと核心をつく人に滅多にお目にかからない。
多い回答として、「部下の意見をよく聞くこと」、「やる気を高めること」、
「結束を図ること」、「公平に接すること」などが挙げられる。
いずれももっともであり大切なことには違いないが、
大前提がスッポリと抜け落ちては何の意味もない。

これらの回答をするマネジャーは、
「いい仕事なんて当たり前だから敢えて言わなかったんだ」
と反論するかもしれないが、各社の実態を見るにつけ、この反論には説得力がない。
マネジャーの何割が本当に「いい仕事」をさせているだろうか。
2割弱ぐらいが妥当な線であろう。

部下の意見をよく聞いた結果、双方の意見を足して2で割るような妥協策になってしまう。
ヤル気を阻害しないようにと、部下の問題点や悪癖に目をつぶる。
結束第一ということで、「傷のなめあい集団」を作る。
公平を貫くあまり、悪平等に陥る。
極端な例ではあるが、これに近い現象はあちこちで発生しており、
結果として「いい仕事をさせていない」のである。

どんなに人柄が良かろうと、どんなに頭が切れようと、
いい仕事をさせないマネジャーに上下からの信頼は得られない。
「彼(彼女)に任せれば」、「この人についていけば」という関係を築く源は、
「いい仕事をさせる」ことに尽きるのである。

さて、「いい仕事」とは何か。これを定義的に表現すると、
「業務遂行責任を果たし、期待される成果をあげること」といえよう。
この状態を実現するために欠かせないのが、マネジメント機能である。
どのようなテーマ(課題)に取り組むにしても、マネジャーとしての機能を
発揮しなければ、思うような成果は期待できなくなる。

既にご存知の方もいらっしゃるだろうが、
『アディゼス・マネジメント』という書籍で発表されたマネジメント理論がある。
この理論(「マネジメント4つの機能」〇砂仄垉’臭▲▲疋潺縫好肇譟璽拭宍’
4覿伐筏’臭づ合者機能)も有益であり、ユニゾンとしても支持しているところである。
しかし残念ながら、抽象度が高いために、実務への結びつけが絵になりにくいという難点もある。
また、トップマネジメント向けという感を否めないという点もある。
実務の第一線でマネジメントに当たる方々のために、
現場主義の観点からまとめたのが、以下の「マネジメント5つの機能」である。

1.実態掌握機能
孫子の言にならえば、「よく識る者は、よく戦う」である。
実態が手のひらに乗っていなければ、戦略、計画、「読み」、判断、指示、上への報告、
すべての面にわたってピンボケになる。
俗にいうカンピューターも、マネジャーとして駆使せざるを得ない場面も確かにあるが、
本物の勘は豊富なデータの裏づけがあって育つものであることを忘れてはならない。

あきれたことに、部下の目標進捗状況を知らない、業務遂行の流れやルールを知らない、
何に取り組んでいるかを知らない、辞表がでてくるまで部下の変化に気づかない、
といったマネジャーがいるのである。
これでは「いい仕事をさせる」ための指揮など、とりようもない。
新任のマネジャーが第一に着手すべきはこの機能であるが、ベテランマネジャーといえども、
決して安心してはいられないのである。
紙幅の関係で詳述できないが、実態掌握のポイントは、
 嵜字」で把握する、◆崙阿」を把握する、「感情」を把握する、の3点である。

2.“今課題”発見機能
マネジャーなら誰しも、達成すべき課題をいくつも持っているはずである。
10項目以上は、即座に列挙できるだろう。
ただし、数多く列挙できることと、優先順位が的確であることとは全く別ものである。
重要なのは、「今」取り組むべき課題が正しく選択されているか否かである。

“今課題”とは、「今期の課題」、「今月の課題」、「今週の課題」、「今日の課題」
を総称したユニゾンの造語である。
これらが明確になっており、相互の関係がきちんと位置づけられていなければ、
努力の焦点をどこに合わせるべきかが分からない。
特別な業種を除き、一般に職場は「状況変化の連続」であり、
それに振り回され、流されやすい。
それだけに、「核」となる課題を設定しなければ、芯のないコマのようになってしまう。
また、「そこに山があるから登る」という名言があるが、
山(課題)がなければ登る努力もありえない。
日々、質の高い努力がなければ成長もありえない。

部下の中には、自主的に課題を設定して取り組む者もいるだろうが、
必ずしも正しい方向に向いているとは限らない。
また、忙しく手足を動かしている様子を見て満足することも禁物である。
今日の成果と、将来の成果に結びつく質の高い努力こそが「いい仕事」であることを
意識し、そのための“今課題”の発見と設定に真剣に取り組むべきである。

3.意志決定機能
マネジャーの仕事の中核は「例外処理」である、といっても過言ではない。
ルーチン化された作業以外は、すべて例外処理のはずである。
たとえば、部下から決裁案件が上がってくる(ハンコを押すべきか、否決すべきか)。
上から突発の業務命令がくる(受けるべきか、叱られても辞退すべきか)。
お客様からクレームが発生する(部下に処理させるか、自分が出るべきか)。
劣勢挽回のための手立てが必要(キャンペーンを実施するか、叱咤激励が良いのか)。
などなど、マネジャーの意志決定が要求される事柄が、目白おしである。
これらの中には、熟慮の余裕のあるものもあれば、速断即決を迫られるものもある。
また、ルールや慣習に照らして“正解”を出しやすいものもあれば、
判断の当否は結果が出るまで分からない類のものもある。

いずれにせよ、マネジャーは「意志決定業」である。
少なくとも、上からそして部下からはそのように期待され、要求されている。
もし、マネジャーが必要な意志決定をしなかったら、ペンディングにして
ウジウジしていたら、判断ミスが頻発したら、言うことがコロコロ変わったら、
上下からの信頼どころではない。

特に重要なのは、
「部下を戸惑わせない」ことと「上に不安感を持たせない」ということである。
今、流行のファジー理論は、意志決定について無用のものである。
また、「下にはイエス、上には言えず」「上にはイエス、下には言えず」という、
正に“中間管理職の悲劇”を自ら招いているマネジャーも数多いようである。
部下のために、会社のために、そして自分自身のために、
「意志決定のプロである」という自覚で「いい仕事」をしたいものである。

4.コミュニケーション機能
血液の流れが止まると、組織は壊死する。
また、血液の老廃物が除去されないと、死亡に到りかねない。
職場における血液は「情報」に他ならない。
情報が「必要なところに、必要な時に、必要な量だけ」届かなかったり、
歪んだ情報が行き交うようになると、必ず組織はおかしくなる。
組織の健康を維持するために、マネジャーはコミュニケーション推進のための
「心肺機能」を果たすことが必要なのである。

コミュニケーションの基本は、「正しく聴く」「正しく伝える」であるが、
それだけではなく「正しく加工する」、つまり誤解や混乱を生じさせないための
工夫が必要とされる。
ここで「正しく」と書いたのは単に「正確に」というだけではなく、
「いい仕事をするために」の意味があると理解していただきたい。
そのための聴き方であり、伝え方であり、加工の仕方なのである。
このスタンスがなければ、いくらコミュニケーションを促進しても成果は出ない。

また、コミュニケーションにはフォーマルとインフオーマルがあるが、
両者に同等の価値を置くことも大切である。
どちらかをおろそかにすると、シッペ返しが来る。
自分がどちらに偏りがちかを認識し、両方の活性化、健全化に努める必要がある。

5.実践化機能
「寝ていて人を起こすな」という諺がある。
自分は楽をして、他人にあれこれ指図するな、という意味である。
どんなに立派な言葉も、それを発する人の普段の行いによって、
受け止められ方が違ってくる。偽善者や怠け者は、マネジャーの資格がない。
自分で泥をかぶろうとしない、率先垂範しない、ゴマスリのイエスマン、言行不一致、
いずれも部下はシビアな目で見ている。表面は従順でも、内心では軽蔑しているものだ。

「いい仕事をさせる」ことがマネジメントの目的であるなら、
「うちのマネジャーの仕事ぶりを見習いたい、見習わなくては」という姿勢を
持たせることが第一である。これが「実践化機能」の大前提となる。

次に重要なことは、「実践シナリオ」を作成することである。
困難度の高いテーマであれば必須である。
部下の意見やアイデアを引き出しながら、達成へのプロセスを描き統合することである。
部下の成熟度や能カに応じて、シナリオのキメの細かさを加減することは当然である。

最後に、ヘルプである。
やり遂げさせ、成果を出させるために最善のヘルプを行う必要がある。
ヘルプとは「手助け」だけではない。
中間チェック、プッシュ、アドバイス、リコグニション(見守り効果)、
ほめる、どやしつける。
要するに「やり遂げさせるための働きかけ」をヘルプというのである。
ヘルプ上手のマネジャーでありたいものである。